現代医療はとにかく消炎鎮痛である。
それらは外からでもわかりやすく、治療の対象として扱いやすい。
また、消炎剤、鎮痛剤などが製品化され治療も確立されている。
こうして消炎と鎮痛が治療の主な目的となった。
しかし現実はどうか?
沢山の患者が薬を飲んでいるのに痛みが治らず困っている。
そもそも消炎、鎮痛という考えに問題があるのではないかと思う。
ケガした瞬間は痛みがわからなかったが、暫くして痛みが出て腫れてくるという経験は誰にもあると思う。
それは損傷したから炎症も痛みが発生しているのでなく、それらを修復する為に出ているのからである。
だから、痛みと炎症にはタイムラグがある。
炎症とは損傷した組織を殺菌し損傷した細胞などをきれいに整え再生の場を整備することである。
痛みとは損傷した場所を正確に知らせるシステムでる。それがなければどこで炎症を起こせばいいのかがわからなくなる。例えが古いが狼煙のようなモノである。
つまり
炎症と痛みは抑えるのでなく、経過を見守ることが大切である。
では、損傷にはどう対処するのが正しいのか?
それは変位した組織を元の形に戻す、又は近づけることである。
私たちであれば、捻挫で歪んだ関節や筋肉、骨折でズレた骨を整復することであろう。
治療と言えるのはたったこれだけでありそれ以外は自然に任せる方が効率が良い。
消炎剤の実際の働きは炎症のプロセスを妨害することであって、傷を治すことにはなっていない。
また、鎮痛剤にしても同様で患部の状態の情報伝達を妨害しているだけである。これも傷が治ることとは関係がない。
実際に捻挫、肉離れは患部に刺激や負荷が切らないようにすればそれほど痛まず
そのような薬は必要としない。
骨折でも同じである。
およそ72時間程度でピークを迎えその後終息に向かう。
この間に免疫システムが稼働し損傷を治癒させていく。これは誰も自覚できることはできないが確実に自分の身体で起きている現象である。このように私たちの身体は気づかない力で絶えず守られているのである。
このシステムの性能は現在の医療技術は到底及ばない。
要するに治療者はズレたモノをただ元に戻す(整復)するだけで良いのである。
私たちも出来るだけ不要な治療をしないこと心がけている。
若い頃お世話になったある有名な先生からこのようなお言葉を頂きました。
「三浦君、治療とはあれこれ沢山するのでなくて、何をしないかということ考えなさい」